動物の寿命ランキング|1位は507年の貝、哺乳類トップは211年のクジラ
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「いちばん長生きな動物は?」
ゾウやクジラを思い浮かべた人が多いはずです。答えは 貝 でした。
この記事では、老化研究で使われる AnAge データベースの最大寿命をもとに、動物の寿命ランキングを作ります。さらに、そのデータで「体が大きいほど長生き」が本当かを実際に計算しました。
【結論】
AnAgeデータベースに登録がある動物のうち、最大寿命1位は アイスランドガイの507年 、2位は ニシオンデンザメの392年 。哺乳類のトップは ホッキョククジラの211年 で、ヒトの122.5年は哺乳類2位です。997種の哺乳類で計算すると、体重が10倍になると最大寿命は 約1.44倍 。ただしコウモリとハダカデバネズミは、この法則から3〜6倍も上に外れます。
目次
動物の寿命ランキング【最大寿命トップ15】
最大寿命は「その種で確認された最長の生存記録」です。平均寿命ではないので、実際にその年数まで生きる個体はごく一部です。以下はすべて AnAgeに登録がある種のなかでの順位 で、未登録の種は含まれません。
| 順位 | 動物 | 分類 | 最大寿命 |
|---|---|---|---|
| 1 | アイスランドガイ | 二枚貝 | 507年 |
| 2 | ニシオンデンザメ | サメ | 392年 |
| 3 | ハオリムシの一種(Seepiophila jonesi) | 多毛類 | 300年 |
| 4 | ハオリムシの一種(Escarpia laminata) | 多毛類 | 300年 |
| 5 | ハオリムシの一種(Lamellibrachia luymesi) | 多毛類 | 250年 |
| 6 | ホッキョククジラ | 哺乳類 | 211年 |
| 7 | アリューシャンメヌケ | 魚類 | 205年 |
| 8 | アカウニ | ウニ | 200年 |
| 9 | ガラパゴスゾウガメ | 爬虫類 | 177年 |
| 10 | アメリカナミガイ | 二枚貝 | 168年 |
| 11 | オオサガ | 魚類 | 157年 |
| 12 | レイクチョウザメ | 魚類 | 152年 |
| 13 | アルダブラゾウガメ | 爬虫類 | 152年 |
| 14 | ヒウチダイ | 魚類 | 149年 |
| 15 | ワーティオレオ(深海魚) | 魚類 | 140年 |
同じ年数の種(300年が2種、152年が2種)の並び順は便宜上のもので、優劣を意味しません。 ニシオンデンザメの392年は目の水晶体を使った放射性炭素年代測定による推定値 で、元論文では272〜512年という幅で報告されています。群体で生きるサンゴや海綿にはさらに長い記録もありますが、個体の寿命と同じ土俵では比べられないためこの表には入れていません。
上位に並ぶのは 冷たい海か、深海に住む生き物 です。アイスランドガイは北大西洋の海底、ニシオンデンザメは水深2,000mまでの北極海、ハオリムシはメキシコ湾深部の冷たい湧水域に生息します。
いずれも熱水噴出孔のような高温の場所ではなく、低温の環境です。共通するのは水温の低さで、代謝が遅く、成長も老化もゆっくり進むと考えられています。ニシオンデンザメは性成熟までに150年前後かかると推定されています。
植物まで入れると桁が変わる。AnAgeにはブリッスルコーンパインという松が5,062年、バオバブが2,500年で登録されておる。動物とは競技が違うのじゃ。
哺乳類だけで並べるとクジラがほぼ独占
| 順位 | 哺乳類 | 最大寿命 |
|---|---|---|
| 1 | ホッキョククジラ | 211年 |
| 2 | ヒト | 122.5年 |
| 3 | ナガスクジラ | 114年 |
| 4 | シロナガスクジラ | 110年 |
| 5 | ザトウクジラ | 95年 |
| 6 | シャチ | 90年 |
| 7 | ツチクジラ | 84年 |
| 8 | アジアゾウ | 79.6年 |
| 9 | マッコウクジラ | 77年 |
| 10 | コククジラ | 77年 |
トップ10のうち 8種がクジラ目 (シャチを含む)です。そこにヒトとゾウが割り込む形になっています。77年のマッコウクジラとコククジラは同値です。
ヒトの122.5年は、1997年に亡くなったフランスのジャンヌ・カルマンさんの記録です。ゾウは陸上哺乳類では最長クラスですが、それでも80年に届きません。
短命な哺乳類は最大寿命2.1年
逆方向も見ておきます。AnAgeに登録されている哺乳類のうち、最大寿命の値を持つ1,003種を短い順に並べました。
| 順位 | 哺乳類 | 最大寿命 |
|---|---|---|
| 1 | モリトガリネズミ | 2.1年 |
| 2 | タイリクヤチネズミ | 2.1年 |
| 3 | ジャコウトガリネズミの一種 | 2.2年 |
| 4 | キタトガリネズミ | 2.2年 |
| 5 | チンチラネズミの一種 | 2.3年 |
2.1年が2種、2.2年が2種と同値が並びます。順位は便宜上のものです。
上位はトガリネズミとネズミの仲間で占められます。記録に残る最長でも2年程度なので、 野生での平均寿命はさらに短いことになります 。
トガリネズミは体重が数グラムしかありません。体が小さいほど体重あたりの熱の逃げ方が速く、体温を保つために食べ続ける必要があります。代謝を高く回し続ける生き方が、そのまま寿命の短さにつながっています。
体が大きいほど長生き?997種で計算した
「大きい動物ほど長生き」はよく言われます。AnAgeに登録された哺乳類のうち 体重(成体・グラム)と最大寿命の両方が入っていて、データ品質が high または acceptable の997種 を使い、両対数で回帰を取りました。前節の1,003種との差は、体重が未登録の種を除いたぶんです。
結果は 体重が10倍になると最大寿命は約1.44倍 、相関係数は0.70でした。
| 体重 | 回帰式による最大寿命 | 実例 |
|---|---|---|
| 10g | 6.8年 | トガリネズミ級 |
| 100g | 9.8年 | ハムスター級 |
| 1kg | 14.2年 | ウサギ級 |
| 10kg | 20.5年 | 中型犬級 |
| 100kg | 29.5年 | ヒト・ライオン級 |
| 1t | 42.6年 | ウシ・ウマ級 |
| 10t | 61.4年 | ゾウ級 |
傾向としては確かに成り立ちます。ただし相関係数0.70を二乗した決定係数は0.49。つまり 寿命のばらつきのうち体重で説明できるのは約49%で、残り約51%は別の要因 という意味です。
体重の法則から外れる動物|コウモリとハダカデバネズミ
回帰式からのズレが大きい順に並べると、上位10種のうち9種が コウモリ でした。下の表はそこから代表的なものと、比較用の種を抜き出したものです。
| 動物 | 体重 | 最大寿命 | 予測との比 |
|---|---|---|---|
| ブラントホオヒゲコウモリ | 7g | 41年 | 6.4倍 |
| ハダカデバネズミ | 35g | 31年 | 3.7倍 |
| ヒト | 70kg | 122.5年 | 4.4倍 |
| アフリカゾウ | 4.8t | 65年 | 1.2倍 |
| ハツカネズミ | 18g | 4年 | 0.5倍 |
体重7gのブラントホオヒゲコウモリが41年。同じくらいの体格のハツカネズミは4年ですから、 10倍の差 があります。飛べることで捕食される機会が減り、長生きする方向に選択が働いたという説明がよく挙げられますが、これは有力な仮説の一つで、決着した話ではありません。
ハダカデバネズミは地下トンネルに暮らすげっ歯類で、31年。がんがほとんど発生しないことで知られ、老化研究の主役になっています。
そして ヒトも大きな外れ値 です。体重70kgから予測される最大寿命は27.9年ですが、実際は122.5年で4.4倍。霊長類全体が長寿寄りですが、ヒトはその中でも突出しています。
回帰式は AnAge のデータ(データ品質 high / acceptable、体重と最大寿命の両方が登録されている哺乳類997種)から算出したものです。log10(最大寿命・年) = 0.159 × log10(体重・グラム) + 0.675、相関係数0.70(決定係数0.49)。「予測との比」は実測値をこの式の予測値で割った値です。
動物の寿命ランキングを読むときの3つの注意点
このランキングを見るときに、押さえておくと誤読しない点が3つあります。
最大寿命と平均寿命を混ぜない。 この記事の数字はすべて最大寿命で、記録された最長個体の値です。野生動物の平均寿命はこれよりはるかに短く、種によっては10分の1以下になります。
飼育記録と野生記録は別物。 AnAgeは記録の出どころを区別しています。飼育下は捕食も飢餓もないため長く出ます。逆にニシオンデンザメの392年は野生個体の放射性炭素年代測定による推定で、誤差の幅も大きい値です。
調べられていない種が大半。 AnAgeに登録されている動物は約4,000種で、既知の動物種は100万を超えます。このランキングは 寿命が調べられた種のなかの順位 であって、地球上の全動物を並べたものではありません。
ヒト自身の寿命がどこまで伸びているかは 世界の平均寿命ランキング にまとめています。
よくある質問
Q1. いちばん長生きする動物は何ですか?
寿命が記録されている動物を集めたAnAgeデータベースでは、アイスランドガイという二枚貝の507年が最長です。動物以外を含めると、ブリッスルコーンパインという松の5,062年が最長になります。
Q2. 哺乳類でいちばん長生きなのは?
ホッキョククジラの211年です。2位はヒトの122.5年で、3位以下もナガスクジラ114年、シロナガスクジラ110年とクジラが続きます。
Q3. 体が大きい動物ほど長生きするのは本当ですか?
傾向としては本当です。哺乳類997種で計算すると、体重が10倍になると最大寿命は約1.44倍になります。ただし相関係数は0.70(決定係数0.49)で、体重で説明できるのは寿命のばらつきの約半分です。
Q4. 小さいのに長生きな動物はいますか?
コウモリとハダカデバネズミです。体重7gのブラントホオヒゲコウモリは41年、体重35gのハダカデバネズミは31年生きます。同じ体格のハツカネズミの4年と比べると8〜10倍です。
Q5. ヒトの最大寿命122.5年はどこから来た数字ですか?
1997年に122歳164日で亡くなったフランスのジャンヌ・カルマンさんの記録です。これは記録が残る中での最長で、平均寿命とは別の指標になります。
まとめ:寿命の順位は「冷たい・遅い・飛べる」で決まる
動物の最大寿命1位はアイスランドガイの507年、哺乳類の1位はホッキョククジラの211年でした。上位は冷たい海や深海の生き物で占められます。
体重と寿命には相関があり、体重10倍で最大寿命1.44倍。コウモリのように飛べる動物、ハダカデバネズミのように地下で守られた動物は法則から大きく外れます。
ヒトも例外側の動物です。体格から予測される27.9年に対して、実際は122.5年。4.4倍という数字は、コウモリと同じくらいの「規格外」だといえます。