士業の格付けランキング|8士業を登録者数・合格率・年収で比較
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「士業を目指すなら、どれが一番おいしいんだろう?」
弁護士、税理士、社労士……名前は知っていても、実際にどれくらいの人がその仕事をしていて、どれくらい稼いでいるのかは意外と見えません。
この記事では、8つの士業を 登録者数・合格率・年収 の3つの角度から比べます。ただし先に断っておくと、この3つのうち 年収だけは8士業を同じ条件で並べられる公的資料が見つかりませんでした 。どこまでが公表値で、どこからが推計なのかも含めて並べます。
【結論】
登録者数が最も多いのは 税理士の82,343人 、最も少ないのは 弁理士の11,748人 で約7.0倍の開き。登録者数の少なさと合格率の低さを合計した格付けでは 司法書士と弁理士がS 。ただし合格率は士業ごとに分母も「合格」の意味も違うため、この格付けは 公表値をそのまま並べた見かけの順位 です。年収は、国の統計が「公認会計士,税理士」「法務従事者」という粗い区分しか持たず、8士業を横並びにできません。
本記事の「8士業」は、職務上請求権が認められる法律上の八士業(弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士)とは別の括りです。ここでは キャリア選択の場面で比較されることが多い8つの国家資格 として、公認会計士と中小企業診断士を含め、土地家屋調査士と海事代理士は外しています。
目次
8士業の格付け結果【S〜C】
まず結論から。登録者数(少ないほど希少)と直近の合格率(低いほど入口が狭い)でそれぞれ1〜8位をつけ、合計した結果です。
| 格付け | 士業 | 登録者数 | 人数順位 | 合格率 | 合格率順位 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| S | 司法書士 | 23,505人 | 2 | 5.2% | 1 | 3 |
| S | 弁理士 | 11,748人 | 1 | 6.4% | 3 | 4 |
| A | 社会保険労務士 | 46,237人 | 5 | 5.5% | 2 | 7 |
| A | 公認会計士 | 38,612人 | 4 | 7.4% | 4 | 8 |
| B | 中小企業診断士 | 約27,000人 | 3 | 23.0%※ | 7 | 10 |
| B | 行政書士 | 54,186人 | 7 | 14.5% | 5 | 12 |
| C | 弁護士 | 46,243人 | 6 | 41.2% | 8 | 14 |
| C | 税理士 | 82,343人 | 8 | 21.6%※ | 6 | 14 |
人数順位は登録者数の少ない順、合格率順位は合格率の低い順です。合計は理論上2〜16の範囲を取り、 2〜5をS、6〜9をA、10〜12をB、13〜16をC の4段階に区切りました。※印の2つは他と定義が違います。中小企業診断士の23.0%は 1次試験のみ の合格率(令和8年度)で、登録には2次試験と実務要件の通過が必要です。税理士の21.6%は 1科目でも合格すれば合格者に数える 数字です。この格付けは各団体が公表している数字をそのまま並べた場合の順位であり、資格の難易度や収益性の序列ではありません。
格付け表を作っておいてなんだが、この表のいちばんの読みどころは「合格率」の列が横に比較できていないところだ。そこは後半でひっくり返す。
士業の登録者数ランキング:1位は税理士82,343人
まず、それぞれの士業に何人が登録しているのか。各士業の連合会・協会が公表している数字です。
| 順位 | 士業 | 登録者数 | 基準日 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 税理士 | 82,343人 | 2026年8月末 | 日本税理士会連合会 |
| 2 | 行政書士 | 54,186人 | 2026年4月1日 | 日本行政書士会連合会 |
| 3 | 弁護士 | 46,243人 | 2025年3月31日 | 日本弁護士連合会 |
| 4 | 社会保険労務士 | 46,237人 | 2025年3月31日 | 全国社会保険労務士会連合会 |
| 5 | 公認会計士 | 38,612人 | 2026年8月31日 | 日本公認会計士協会 |
| 6 | 中小企業診断士 | 約27,000人 | 2024年4月 | 中小企業庁 |
| 7 | 司法書士 | 23,505人 | 2026年4月1日 | 日本司法書士会連合会 |
| 8 | 弁理士 | 11,748人 | 2025年3月31日 | 日本弁理士会 |
1位の税理士82,343人と8位の弁理士11,748人では 約7.0倍 の差。同じ「士業」でも、その資格を持つ人が何人いるかはまったく違います。
面白いのは3位と4位です。 弁護士46,243人と社労士46,237人は、同じ2025年3月31日時点でわずか6人差 。まったく別ジャンルの資格が、人数だけ見ればほぼ同規模で並んでいます。
数字はいずれも個人の登録者数です。税理士は別に税理士法人が5,330、行政書士は行政書士法人が1,719ありますが、士業ごとに法人制度の有無や普及度が違うため、比較は個人に揃えました。公認会計士は日本公認会計士協会の会員数等調のうち「公認会計士」の区分(準会員・会計士補を除く)です。 基準日が2024年4月から2026年8月まで最大2年以上ばらついている 点には注意してください。とくに中小企業診断士は中小企業庁の公表資料が更新されておらず、2024年4月時点の概数しか確認できませんでした。
士業の登録者数は25年でどう変わった?弁護士は2.70倍
「今何人いるか」と合わせて見たいのが「増えているかどうか」です。人数の推移は、その資格が制度としてどう扱われてきたかを映します。
弁護士は連合会が長期の統計を公表しているので、まず弁護士から。
| 年 | 弁護士数 | 2000年比 |
|---|---|---|
| 2000年 | 17,126人 | 1.00倍 |
| 2005年 | 21,185人 | 1.24倍 |
| 2010年 | 28,789人 | 1.68倍 |
| 2015年 | 36,415人 | 2.13倍 |
| 2020年 | 42,164人 | 2.46倍 |
| 2025年 | 46,243人 | 2.70倍 |
25年で 2.70倍 。司法制度改革で法科大学院制度が始まり、司法試験の合格者数が大きく増えた時期と重なります。
一方で伸びは鈍っています。2000年→2010年の10年で1.68倍だったのに対し、2015年→2025年の10年は1.27倍。 増加ペースは以前の半分以下 に落ちました。
税理士は対照的です。令和6年度末の81,696人から2026年8月末の82,343人へ、1年半で 0.8%増 。ほぼ横ばいで推移しています。
「弁護士は増えすぎて食えない」という話をよく聞くが、直近10年の伸びは1.27倍だ。人数が増えれば1人あたりの仕事が減る、とは限らない。需要側が同じペースで動いているかは別に確かめる必要がある。
士業の合格率は横並びで比較できない【難易度の罠】
ここが本題です。冒頭の格付け表で使った合格率は、 士業ごとに計算の分母も、合格の意味も違います 。
| 士業 | 合格率 | 実施年 | 分母と「合格」の中身 |
|---|---|---|---|
| 弁護士(司法試験) | 41.2% | 令和7年 | 受験には法科大学院の修了または在学中要件の充足、あるいは予備試験合格が必要 |
| 中小企業診断士 | 23.0% | 令和8年度 | 1次試験のみの合格率。登録には2次試験と実務要件が必要 |
| 税理士 | 21.6% | 令和7年度 | 受験者36,320人中7,847人。1科目でも受かれば合格者に計上 |
| 行政書士 | 14.5% | 令和7年度 | 受験者50,163人中7,292人。受験資格なし・一発で完結 |
| 公認会計士 | 7.4% | 令和7年 | 願書提出者22,056人に対する最終合格者1,636人 |
| 弁理士 | 6.4% | 令和7年度 | 受験者3,183人に対する最終合格者205人 |
| 社会保険労務士 | 5.5% | 第57回(令和7年) | 受験者43,421人中2,376人。受験資格あり・一発で完結 |
| 司法書士 | 5.2% | 令和7年度 | 受験者14,418人中751人。受験資格なし・一発で完結 |
同じ「合格率」という言葉でも、中身が4種類あります。
- 受験資格の壁が別にあるもの :司法試験の41.2%は、法科大学院のルートか予備試験(合格率3〜4%)を通った人だけの中での数字です。母集団がすでに絞り込まれています
- 試験が複数段階に分かれているもの :中小企業診断士の23.0%は1次試験だけの数字で、この先に2次試験と実務要件があります
- 科目単位で数えるもの :税理士試験の21.6%は「その年に何らかの科目に合格した人」の割合です。5科目すべてに到達した官報合格者は 527人 でした
- 一発で完結するもの :司法書士5.2%や行政書士14.5%は、その試験に受かればそれで終わりです
税理士の官報合格者527人は、過年度に取った科目合格を積み上げて到達した人を含みます。そのため「527人÷その年の受験者36,320人=約1.5%」は、司法書士の5.2%と同じ物差しの数字ではありません。 1年に5科目まで到達する人は527人しかいない という事実として読むのが正確です。中小企業診断士の2次試験は年度による変動が大きく、1次合格の有効期間が2年あるため、1次と2次を掛け合わせた「ストレート合格率」を公表値から一意に出すことはできません。
つまり、税理士の21.6%と司法書士の5.2%を「税理士のほうが4倍やさしい」と読むのは誤りです。税理士の21.6%は科目単位の数字で、5科目そろえるには通常複数年かかります。
合格率だけを軸にした試験の難易度そのものは、国家資格の難易度ランキングで資格ごとに整理しています。
士業の年収ランキングが存在しない理由【公的統計の限界】
3つ目の年収。これが一番やっかいでした。
国の代表的な賃金統計である 賃金構造基本統計調査 (厚生労働省・令和6年)は、職種を細かく分けているように見えて、士業については次の粒度しかありません。
| 統計上の職種区分 | 年収(推計) | 調査年 |
|---|---|---|
| 公認会計士,税理士 | 約856万円 | 令和6年 |
| 法務従事者 | 約765万円 | 令和6年 |
「公認会計士,税理士」は2つの資格がひとまとめ。「法務従事者」に至っては弁護士・司法書士・弁理士などが混ざった区分です。 社労士・行政書士・中小企業診断士に対応する区分はありません 。
団体側の調査もあります。日本弁護士連合会の弁護士白書によれば、弁護士の所得は 中央値800万円・平均1,022.3万円 。平均が中央値を222万円上回っており、一部の高所得層が平均を押し上げている形です。
賃金構造基本統計調査の年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で算出したものです(公認会計士,税理士は月額55.8万円+賞与187万円)。この統計は 10人以上の企業に雇われている一般労働者 が対象なので、独立開業している士業の多くは含まれません。士業の年収で最も知りたい「開業して何年目でいくらか」は、公的統計では捕捉されていないと考えたほうが正確です。日税連の税理士実態調査など団体独自の調査もありますが、会員限定公開のものが多く、8士業を同じ条件で並べられる資料は確認できませんでした。
「士業の年収ランキング」を名乗る記事はネット上にいくらでもあるが、その多くは求人サイトの登録者データや推計値だ。国が持っているのはこの2区分だけ。出どころを書かずに順位をつけると、数字が独り歩きする。
士業の独立しやすさを「開業割合」で見る
年収が同じ条件で比較できないなら、代わりに どれだけの人が開業登録をしているか を見ます。
社労士は連合会が内訳を公表しています。2025年3月31日時点の登録者46,237人のうち、開業社労士は 24,819人(53.7%) 。半数以上が開業区分で登録している計算です。
残りの約46%は勤務社労士や「その他登録」で、企業の人事部などに所属しながら資格を持っている層です。 社労士は、独立しても勤務しても登録の受け皿がある という構造が数字に出ています。ただしこの割合は開業のしやすさや成功率を示すものではなく、あくまで登録区分の内訳です。
公認会計士は事情が違います。日本公認会計士協会の会員数等調では、会員38,612人に加えて監査法人が444登録されています。上場企業の監査は複数人の会計士による共同体制が求められる場面が多く、監査法人という組織形態が発達しました。個人の公認会計士も監査証明業務そのものは行えます。
開業割合を8士業すべてで比較したかったのですが、内訳を公表しているのは一部の団体だけでした。弁護士については弁護士白書に事務所形態の統計があり、公認会計士は所属先の区分が会員数等調から読み取れます。行政書士・中小企業診断士は兼業が前提の人も多く、登録の有無と実際の稼働が一致しません。ここでも 公表されている軸が士業ごとに違う という壁にぶつかります。
勉強時間で見るタイパ:合格までの投入時間は10倍近く違う
登録者数と合格率に、もう1つ「合格までにどれだけ時間を使うか」を重ねると、判断の解像度が上がります。予備校各社が公表している標準学習時間の目安は、士業によって大きく違います。
| 士業 | 学習時間の目安 | 合格率 |
|---|---|---|
| 行政書士 | 600〜1,000時間 | 14.5% |
| 社会保険労務士 | 500〜1,000時間 | 5.5% |
| 中小企業診断士 | 1,000〜1,500時間 | 23.0%(1次のみ) |
| 公認会計士 | 2,500〜3,500時間 | 7.4% |
| 司法書士 | 3,000時間以上 | 5.2% |
| 弁理士 | 3,000時間以上 | 6.4% |
| 税理士(5科目) | 4,000時間以上 | 21.6%(科目単位) |
社労士は 500〜1,000時間で合格率5.5% 。投入時間の目安が近い行政書士(600〜1,000時間・14.5%)と比べると、同じくらい勉強しても受かる割合が3分の1近くになります。時間対効果という意味では、この2つの差はかなり大きい。
学習時間の数字は各予備校が公表している目安で、公的統計ではありません。合格までに複数年かける人が多い資格ほど、実際の総投入時間は目安を上回ります。取得費用と年収アップ幅の関係はコスパの高い資格ランキングで別途整理しています。
士業ランキングを資格選びに使う4つの判断軸
3つの角度のうち2つしか揃わなかったわけですが、それでも判断材料にはなります。
- 「人数が少ない=おいしい」は成り立たない 。弁理士11,748人は8士業で最少ですが、扱う特許出願という市場そのものも小さい。人数の少なさは市場の広さとセットで見る必要があります
- 合格率は必ず「分母」と「合格の中身」まで確認する 。税理士の21.6%は科目単位、中小企業診断士の23.0%は1次のみ、司法試験の41.2%は受験資格を通過した人の中での数字です
- 年収の順位を断定する情報源は出どころを見る 。国の統計は「公認会計士,税理士」「法務従事者」の2区分しか持っていません。8士業を1円単位で並べた表があれば、その根拠がどこにあるかを確認してください
- 投入時間と合格率をセットで見る 。社労士500〜1,000時間で5.5%と、行政書士600〜1,000時間で14.5%では、同じ時間の重みが違います
タイプ別に整理すると、次のような見方になります。
- 参入者の少ないニッチを狙うなら :弁理士(11,748人)か司法書士(23,505人)。ただし理系バックグラウンドや登記実務など、前提となる適性が明確に分かれます
- 勤務しながら資格を生かしたいなら :社労士(開業登録53.7%、裏を返せば約46%が勤務・その他登録)か公認会計士(監査法人という受け皿がある)
- まず短い投入時間で1つ取りたいなら :行政書士(600〜1,000時間・受験資格なし・合格率14.5%)が8士業で最も入口が広い
士業の格付けに関するよくある質問
Q1. 8士業で登録者数が一番多いのはどれですか?
税理士です。2026年8月末時点で82,343人が登録しています。最少の弁理士11,748人(2025年3月31日時点)と比べると約7.0倍の差があります。ただし各団体の公表時点がそろっていないため、基準日は数字ごとに確認が必要です。
Q2. 士業の年収ランキングはなぜ載せていないのですか?
8士業を同じ条件で比較できる資料を確認できなかったためです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査は「公認会計士,税理士」「法務従事者」という粗い区分しか持たず、社労士・行政書士・中小企業診断士に対応する区分がありません。さらにこの統計は雇われている労働者が対象で、独立開業している士業の多くは含まれません。
Q3. 司法試験の合格率41.2%は他の士業より簡単ということですか?
いいえ。司法試験を受けるには法科大学院のルート(修了または在学中要件の充足)か予備試験の合格が必要で、予備試験の合格率は3〜4%です。41.2%はその関門を通過した人の中での割合になります。受験資格のない司法書士や行政書士の合格率とは分母の性質が違います。
Q4. 税理士試験の合格率21.6%はどう読めばいいですか?
1科目でも合格すれば合格者に数えられる数字です。令和7年度は受験者36,320人のうち7,847人が科目に合格しましたが、5科目すべてに到達した官報合格者は527人でした。5科目そろえるには通常複数年かかるため、一発で完結する試験の合格率とは意味が異なります。
Q5. 8士業のなかで学習時間が一番少なくて済むのはどれですか?
予備校各社の目安では社会保険労務士の500〜1,000時間、行政書士の600〜1,000時間が短い部類です。ただし社労士の合格率は5.5%、行政書士は14.5%で、同じくらいの学習時間でも合格する割合は3倍近く違います。
まとめ:格付けの前に、数字の出どころを見る
【結論】
8士業の登録者数は税理士82,343人が最多、弁理士11,748人が最少で約7.0倍差。登録者数の少なさと合格率の低さを合計した格付けは S:司法書士・弁理士/A:社労士・公認会計士/B:中小企業診断士・行政書士/C:弁護士・税理士 。ただし合格率は士業ごとに分母も合格の意味も違い、税理士は科目単位、中小企業診断士は1次のみ、司法試験は受験資格を通過した人の中での数字です。年収は 国の統計が2区分しか持たず、8士業を横並びにできません 。
士業の格付けを名乗る情報はたくさんありますが、8つを同じ物差しで測れる公的データは、実はそろっていません。登録者数だけが唯一、各団体がほぼ同じ形式で公表している数字です。
数字を並べる前に、その数字が何を数えたものかを確認する。士業選びに限らず、これが一番効きます。